二十世紀の初頭、ハッブルは、膨張する宇宙を発見しました。

膨張している宇宙を過去に向かえば、宇宙は収縮します。

宇宙は、百五十億年の昔、点のような大きさでした。

そして、その凝縮されたエネルギーが、大爆発を起こします。

ビッグバンです。

宇宙は百五十億年の過去において、ビッグバンと呼ばれる大爆発によって誕生したとビッグバン理論は語ります。

ビッグバン理論は、その爆発から現在の宇宙までを見事に記述しています。

ですが、だからといって、ビッグバン理論で宇宙の誕生のすべてが記述されたわけではありません。

宇宙とは、存在のすべてであると科学は記述します。

であれば、ビッグバン理論を記述する物理法則も宇宙に含まれねばなりません。

 
物理法則はビッグバンという大爆発を記述しますが

物理法則が爆発することはありません。

爆発したのは宇宙であり、物理法則ではありません。

流転する万物の背後に、自身は流転せず

流転を支配する存在が存在します。

その存在を、記述せねばなりません。
 
ですが、その物理法則の誕生を、ビッグバン理論は語りません。

物理法則は爆発を記述しますが、物理法則が爆発することはありません。

なぜ、物理法則は存在しているのでしょうか?

その答えは、いまだ記述することなく残されています。

なぜ、でしょうか?

われわれの言語の体系では、答えを記述することが原理的に不可能だからです。

一般に、何かを記述しようとして記述できなかったとすれば、それは言葉の使い方が悪いのであり、言葉そのもの

が疑われることはありません。ですが、言葉には、すべてを記述できるという証明もなければ、なにかを記述でき

ないという証明をありません。ただ、すべてを記述できると、なんとなく信じられているだけの出来事です。

存在を記述するには、まず、存在を記述できる言語の体系を探さねばなりません。

ソシュールの力を借り、一度、言葉という出来事の深遠に沈みながらです。

 
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