上という言葉と、下という言葉は、画用紙に横に線を引くことによって生じます。
そのようして生じた言葉に、われわれは支配されます。
上を見てくださいといわれたとき、われわれは画用紙に見えない横の線を引き、その線によって
分割された画用紙の、下ではないもう一方の側を見ます。下ではない他方として、上をです。
言葉は、最低でも二つ、同時に発生します。
右と左、上と下というようにしてです。
左ではないのが右で、下ではないのが上です。
私にとって、右と左は存在しますが、宇宙には、右も左も存在することはありません。
私と向き合っている人にとって、右と左は反対の方向になるからです。
右という言葉が、右を生みます。左ではない方向としてです。
宇宙の外、という言葉が時折記述されます。
自身が、内にいると思っている言葉として、それが現実でもあるかのように、内としてです。