言葉は、発音として、まず、耳より入ってきます。
ですから、子供が言葉を覚える過程は結構忙しく、あれはローソクよ、と言って母親が教える
言葉の、まず音節を区別しなければなりません。
あれ、が一音節なのか、それとも、あれはローソ、が一音節なのか、の一大事です。
と同時に、母親の指さす彼方にあるものが、ロウソクなのか、イチゴなのか、クリームなのか、
あるいは、ケーキ全体なのか、それとも、指さす指のことなのかを区別しなければなりません。
何度も何度も繰り返すうちに、ローソクとは、イチゴでもなく、クリームでもなく、全体でも
なく、指さす指でもない、残された一つが、ローソクだと知ります。